生まれ変わって、3年が経った。やっとここでの生活も慣れてきたが、たまにさっきみたいな夢を見ることがある。気持ちだけが焦り、これまでの生活が夢にまで出てくるのだ。
毎日必死で首を鍛え、身体もひねり、生後半年で家中を移動できるようになった。前世でもこんなに身体を鍛えたことなどない。


「旬くん!今日、隣町に新しくできたショッピングモールへ行かない?」

「え…?」


香菜(かな)ママさんの提案に思わず耳を疑った。


「ママとデートしよっか」

「!!うん、行く!!」


マジで!!信じられねー!!!
こんなにも喜んだのには理由がある。最近、隣町にできたショッピングモール。そこは前世、佐藤巧(さとうたくみ)だった時に住んでいた町だった。そう、転生し新しい生活を始めた場所は前に住んでいた所とさほど離れていなかったのだ。


………でけー。
電車に乗り20分、3年ぶりに地元へやってきた。田んぼだった所は巨大なショッピングモールが建ち、たくさんの人が行き交う。3年でここまで変わるとは。


「旬くん、おもちゃ屋さんがあるよ♪」

「う、うん」


ここで16年間育ってきたはずなのに、知らない間に町は活気に溢れにぎわっている。田んぼが多く、どちらかというとのどかな場所だったのに。なんだか、変な気分だ。


「これ、かわいい!!こっちもいいなー!」

「…………」


…ちょっとだけなら、と香菜(かな)ママさんが買い物に夢中になっている間にそばを離れた。自分でもうまく説明ができないがモヤモヤする。自分がいない間に、いろんなことが変わっていく。そんな思いが胸の中を渦巻くようにかき乱していく。
もしかすると、彼女は、季恵(きえ)も俺のことなんて忘れているかもしれない。

居ても立っても居られなくなり、店を出ようと出口を探した。