俺、佐藤巧(さとうたくみ)。年は16歳になったばかりの、健全な男子高校生だった。
頭脳並み、ルックス並み、幼馴染の一応…彼女あり。というか、その幼馴染との初デートへ向かう途中にあの世逝きとなったらしい。


”未練タラタラで申し訳ありませんが、死んでしまってます~”

『…あのさ、さっきから軽くない!?語尾伸ばしてさ!イライラすんだよ!』


未練?そんなものあるに決まっているじゃないか。お楽しみはこれからという時に、まだないに始まっていないのに、なにも…。


”八つ当たりはお止めください~無謀は行為で死亡したのは、アナタなので~”


…なにも言い返す事ができない。あの時はとっさに身体が動いてしまったとはいえ、トラックに突っ込んでしまったのは自分である。身体能力に自信があったわけでもないが、まさかそれで死ぬなんて思っていなかった。


”まぁ~お相手の方は助かりましたので、人として誇れる最期でしたよ~!また生まれ変われますし~”


自称天使の手が肩の上に乗り、また微笑みかけてきた。”はい、こちら~”と、そのまま無意識の内に紙を受け取り、背中を押されながら何もない白い空間を前へ進んで行った。


”こちらへどうぞ~”


案内されながら前へ進むと、巨大な扉が現れた。ゆっくりと扉が開き、ドアを通り抜ける。そこもさっきと同様、真っ白で何もない。


”あら、なんと~”
パンパカパーン、パンパンパン、パンパカパーン♪


真っ白な空間に、突如響いたファンファーレ。音だけだったおかげで、盛大に、心臓は止まっているのに心臓が止まってしまうほど驚いた。


”おめでどうございます~!アナタは7777777777…番目の死んじゃった人ですね~”


自称天使は手品のように次々と花を出し、花の首飾りを完成させ首へと掛けてきた。こんなにも嬉しくないお祝いは初めてかもしれない。”これは大変幸運なことなのですよ~”と自称天使は熱く語り始めた。

人は、死んだら犯してしまった罪を償ってから転生をするらしい。どんなに小さな罪でも、例えば友達のゲームを借りたまま無くしてしまったり、妹の大切にしていたオルゴールを壊してしまったり…日常の些細なできごとも相手がおり悲しんでいたら罪。