都市伝説。


墓に隣接する、公園。
手入れは全くされていず、雑草がひしめいている。
遊具は数えるほどで、金具は錆付き、今にも壊れそうだ。
利用者は皆無で、誰も近付こうとしない。

この辺りの地域では、この公園は忌み嫌われていた。

─夕暮れ時、何百人もの死者が徘徊する。

それだけならまだしも、生身の人間を、自分たちの世─つまり、あの世に連れていってしまうのだという。


そんなわけで、この公園には、人の姿は見受けられない。





─ただ一人、少女を除いて。
少女な何食わぬ顔で現れると、ブランコに腰掛けた。

伝説など、全く気にする様子も無く、時間を潰すように、毎日毎日、同じ時間になると現れる。

そんな少女を見て、周りの住人たちは、

頭の逝かれた奴だ……また一人、連れていかれる─と、噂しあった。

ただの都市伝説に、なぜ、ここまて怯えるのか─。

それは、五年前の出来事にあった。



当時、都市伝説は余り信憑性を持たず、年寄りの戯言─のような、イメージが定着していた。

整備もされており、休日になると、子供たちが遊ぶ光景も多く見られた─の、だが。





とある日を境に、事は一変したのだ。



太陽が沈み、辺りが闇になり始める頃─つまり、夕暮れ時。

一人の少年が、姿を消した。

誰かに誘拐されたとか、迷子になったとか、そういう事では無い。

少年は何人かの友達と遊んでいたのだが、かくれんぼをし、数を数えているうちに─、忽然と、姿を消した。

神隠しのように、一瞬に。

たまたま少年の消える様を見ていた人がいて、その証言によると、


『まるで、魔法のように─いや、瞬間移動したみたいに、一瞬で居なくなったんです。さらわれたとか、そんなんじゃない。あれは、人間の成せる業ではありません。』


─と。