「なんだこれ?今動いたぞ…」
オヤジは嬉しそうに「ハハァンきっとあんたに買って貰いたがっているんだよ。それにするかい?」と言ってきた。
なんだか不気味だなぁ。
正吾がその袋を持ち上げると、中からなんともいえない良い薫りがしてきた。
なんだか花畑にいるみたいだ…ア~幸せな気分になってきたぞ。
「よし!これに決めた」
オヤジは「まいどありがとうございます!」と満面の笑みで福袋を渡した。
「あっそうそう忘れるところだった…これこれ!」赤いポチ袋には大入りの文字が書いてある。中には何も書いていない札が一枚入っていた。
「なんだ、ただの紙切れじゃん。金券でも入ってるのかと思ったよ」
オヤジは渋い顔をして「350円しか払わんといて金券なんか期待したらいかんよ。だがこれはそんなものよりず~っとず~っと価値のあるもんなんだ。いいかい…この紙に願い事を一つだけ書くんだ。そうすれば絶対願いは叶う」
正吾は「ハイハイ、そりゃあ凄い!じゃあよ~く考えないとね」
と軽くいなした。
「信じて無いな?本当に本当なんだぞ。まぁいいさ、そのうちわかるだろ。じゃあな!坊主」

正吾は結構大きなその紙袋をぶら下げ、家に帰っていった。
「ただいま~!あ~腹減った。今日のメシなに~?」
エプロン姿の母、ユカリがおたまでカレーをよそっていた。
「今日はあんたの大好きなカツカレーだよ。もう出来上がるから手を洗っておいで」
「んん?正吾、どうしたのその福袋」