「萌花ー私トイレ行ってくるよ」

「え?あ、うん!私下足で待ってるね」

「うーん!ありがとー」

そう言い残して私はトイレに向かった。
裸足でゆっくり廊下を突き進んでいく私。
トイレが見当たらない…。

なんでよ!?
どうしてよ!!?


イライラが募っていく。


トイレ〜トイレ〜とうなっている私に声がかかった。

「トイレなら三階の突き当たりにあるよ」


は?誰だ?
不機嫌な時に話しかけてくんじゃねぇよ!

「なんで?」

「なんで、って君が『トイレ〜トイレ〜』てうなってたからね」

「私が?」

「うん、君が」

「なんて?」

「だから、トイレトイレってうなってたって言ったんだ」

「あ、そう。で、トイレってどこにあるの?」

「どこって俺、さっき言ったよ?」

「うそ!?マジで?」

「ぶはっ!!君もしかして天然?いいよ、案内してあげる」

「天然じゃありません。結構です」

「いいよー案内させてよ。教師は嘘は言いません」

「教師だったの?てか、案内なんか要らないし」

「え〜。にしても、俺見えないかな?教師に」

「確かに。むしろ見えてても向いてないと思う」

「君って案外ズバッと切るね〜。てゆうか、名前教えてよ」

「は?教師がナンパしていいんですか」

と真面目に問いかける私を鼻で笑った。

「ナンパじゃありません〜。君新入生でしょ?」

「まぁ」

「まぁ、俺も新米だからね」



あ、そう。

……それがどうかしたのかよ?
てゆうか、ナンパじゃんかよソレ。

「あ、もう一回聞いとくよ。トイレどこ?」

「三階の突き当たり」

「どーも」




私がそう言うと彼はニッコリ微笑み私に手を振った。
つられて私も手を振る。




………て、待て!おい!なぜ手を振り返す!自分!
あぁ〜!調子狂うなぁ〜!!










なんか……変わった奴だ。
フワフワフワフワしてんのにしっかりしてんじゃんか。