ただひたすら走った。
時間は刻一刻と過ぎていく。

「も……っ無理!」

「大丈夫!?繭っ」

足の筋肉が悲鳴をあげている。
肺も潰れそうなくらいギュッとなって息がしにくい。

「はぁ〜〜っ!もういいや〜」

「え〜!ここまで来て諦めるの〜!?」

「だって〜しんどいじゃん」

「じゃあどーするの?特売」

「また今度にするよ」

「走った意味ないじゃーん!」

「ごめーん」



<パッパー!!>


??
なんだ?うるさい奴だな。
振り返って私はその車を睨んだ。






「あ!柳川先生じゃない?あの人」

「え?」

「ほら、今車から降りてきたよ!」

「えっ?」

「あ、こっち来るー!」

「えぇっ」





心臓が高鳴る。
嬉しいのか、恥ずかしいのか、分かんない。でも今確かに心臓の心拍数が上がってる。

「どーしたの?そんな道の真ん中で」

「はい、あの、スーパーに走って行こうとしてたんです」

はっ!?何言ってんだ!!萌花は!なに馬鹿正直答えてんの!?

「何もないから!心配することなんて」

「あ、そう」












<ズキン>
あ…れ…?何コレ…。なんか悲しくなってきた。








「繭!?どーしたの!?なんか私気に障ること言った?」

「……違う、大丈夫だから」

「だって!繭、泣いて――――…」

「ホントに大丈夫だから。私帰るよ」

「え!じゃあ私も!」

「いいよ、ひとりで。てか、今はひとりのがいい」






私は気付いてしまった。
ホントの気持ちに。


私は祐真が好きだったんだ……。
多分本能では分かってたと思う。だけど私自身がその現実を受け入れていなかっただけの話し。

さっきの素っ気ない言葉が頭から離れない。


祐真はホントに私のこと、なんとも思ってないんだね。

気付いたとたんに失恋なんて。
今日は最悪な日になった。