ダメだ。

自分の仕事に戻らなくては。

私は会社にお給料もらう為に来てるんだぞ・・・っと。



正気に戻って3階を後にしようとしたとき―――
給湯室で広報室のレナちゃんが泣いていた。

「どうしたの?」

どうして私はこういう場にうまいこと出くわすんだろう?

そんなことを思ってしまう。

レナちゃんは、コーヒーカップを手にしたまま

「私・・・納得いきません!」

泣きながらそう言ってカップをシンクにガシャンと置いた。

あ~、そのカップって・・・来客用のかなり高価なやつ・・・

そんなことを思いながら

「どうしたの?」

もう一度聞いた。

「女性社員は、ただのお茶くみですか!」

「誰かそんなこと言ったの?」

「私、お茶くみするためにこの会社に入ったんじゃありません!」

「分かるわよ。だけど、落ち着いて・・・。」


さっきまで泣いてたのに今度はかなり興奮して怒りが爆発って感じ。

何があったかは、だいたい想像がつく。


彼女の部署は大手広告代理店から引き抜かれて入ったという室長を筆頭に数人の男性社員で構成されている。

女性は、彼女一人。


ここの室長っていうのが、エリート意識が高くって鼻もちならないやつ・・・。


でも、上司は上司。文句も言えない。