「ただいま~。」

一人の部屋に帰っても誰も返事をするはずもなく・・・。

「はあ~、何だか空しいね。」

今日は、るりちゃんのことでいいことあったのに・・・。

上着と鞄をベットに放り投げ床に座り込んだ。

何だか気が抜けた。

加川部長の話を聞いたからって訳じゃないけど・・・。

過去を振り返ったってしょうがないのに・・・。

自分の過去の選択が間違いだったとは思いたくない・・・。
だけど・・・何か間違ってた・・・気がする・・・。

「う―――私のバカ!」

高瀬はルックスだけじゃなくて、仕事もできてみんなの憧れの的だった・・・
そんな高瀬がどうして自分と付き合っているのか分らなかった。


分らなくったって良かったんじゃない?


恋愛なんてそんなものでしょ?


好きだって言ってくれるその言葉を信じていればそれだけで良かったんじゃない?


あの時、私は自分に自信がなかった・・・。

いつか終わってしまうかも知れない恋愛に臆病になってた。

どうして自分から終わらせてしまったんだろう?



高瀬のポケットのベルベットの小箱――――


涙が止まらない。


「どうしよう・・・。」


もうすぐ高瀬がもっと手の届かない人に・・・なってしまう。