それは夕方の給湯室―――


「聞いたよ。るりちゃんのことで動いてるって。」

高瀬だった。

「だから?」

「あんまり人のことに関わらない方がいいんじゃないのか?」

最近また目も合わせない状態が続いていた。

急に何?

「心配してくれてるわけ?」

「って言うか、おせっかいもほどほどにしろって言ってんだよ。」

「おせっかい?なんにも知らないくせに・・・。」

「知ってるよ。一色のこと。」

「・・・。」

「一色が電話してきた・・・。」

「どうして?」

「さあな。」

「誤解が解けたから謝りに来たわけ?」

「謝る?まさか。」

「じゃあなに?」

「お前の行動に皆が振り回されてるってこと。自覚しろよ。」

「私、別に誰も振り回してなんていないわよ。」

持っているカップを投げつけそうだ。

「投げるなよ。」

「それ以上うるさいこと言うと投げるわよ!」

「それ部長のだろ・・・。」

「分ってる。」


高瀬が私の手からカップを取り上げシンクに置いた。


「振り回されてるのは・・・俺だよ。」


高瀬が肩を落としてそう言った。


「何やってるんだろうな・・・

長いこと・・・。」

「高瀬・・・?」

なに?なんなの?


それ以上高瀬は何も言わずそのまま出て行ってしまった。