それでも会社はいつもと変わらない。

陰の相談役の仕事も変わらない。


「先輩、ご相談が・・・。」


営業部のるりちゃんだった。


「何?」


人の相談に乗ってる場合じゃないのに・・・


「実は私結婚しようと思いまして。」

「けっ、結婚ん?」

妙にうわずった声が出てしまった。


まさか・・・高瀬と?


「社内恋愛ね。」

「いえ、違うんです。」


違うの?


結婚と聞いたらすぐ高瀬と結びつけてしまっていた。


「相手は、社内じゃないんです。」

「そう、じゃあ彼氏の転勤の心配はないし・・・でも結婚したら退職よね。」

「そうなんです。それで・・・相談が・・・。」


彼女は必死だった。


「私結婚しても会社辞めたくないんです。

って言うか辞められないんです。」

「どういうこと?」