社内規程――――退職金は、3年以上から・・・



「俺のこと心配してるんだろ。
だから・・・。
俺、転勤になってもいい。
一緒に行けばいいよ。なっ。」


それって・・・

プロポーズかどうかは分からなかった。



「違うよ。私は退職するつもりもないし、
第一、今退職したってまだ2年だよ。
退職金出ないんだよ。」


苦しい言い訳。


「退職金出る前に辞められないわ。
それに・・・亨、他にも付き合ってる人
いるでしょ?」


「誰のことだよ。そんなのいるわけないだろ。」

「綾花さんは?」


営業部のアイドル綾花さん。


高瀬のことが好きで、
私達の邪魔するために私と彼が
付き合っていることを社内にバラした人。

もちろん、高瀬と彼女とは何もない。

だけどあえて、彼女と何かあると思っているように


・・・思わせた。


「まだ、疑ってるのか?
そのことは、前にも言った。何もない。」

「そうね。そうなんでしょうね。
でも、私それより退職金のほうが・・・
大事なの。」

「退職金が出ないから辞めるつもりもないし、
だから、別れる方がいいって言うのか!」

「そうよ。それに、・・・

もう好きじゃないし・・・。」



その後はそう・・・

私が思いつく限りのひどいこといっぱい言って・・・


壁に穴が開く事件へと発展したのだった。