「俺達別れた理由ってなんだっけ?」

急に高瀬が聞いてきた。

覚えてないわけ?

あんたのプライドがすご~く傷ついた出来事のはずでしょ?




「もう、あなたのこと好きじゃないの。

 私達、別れましょ。」


その時、彼は信じられないとでも言いたげな顔してた。



高瀬も・・・私も・・・


お互い本当に好きだった。



でも、私はあの時、彼を守ることを選んだ。


それは、


私の退職じゃなく・・・


彼との別れ・・・。



会社を辞めることじゃなくて、

私は、別れることを選んだ。



決して、仕事をとったわけじゃない。


彼をとった。
それが、彼と別れることだった。




どうしてだろう。

分かってたのかな?

いつか二人に別れが来る。


そのときに別れるよりむしろ先に自分からピリオドを打つ。



当時も彼は社内で一番モテた。

でも、私だけだった。

なのに・・・

今の高瀬を作ったのは、私なのかもしれない。



罪悪感。