「ふざけるな!」

月のコンロット本社。

私はヘルメットを床に投げつけて激昂する。

「シェリン嬢はこちらの声明を全宇宙に読み上げさせ、全ての人間に同意を得させる為だけに同行させるだけ。戦闘行動には一切参加させない。そう言ったのではないか!?」

…私の怒鳴りつけている相手はコンロット社代表取締役、ブレンビー・アークス。

ツルリと禿げ上がった頭の、恰幅のいい男だ。

「落ち着きたまえレイカー」

「これが落ち着いていられるか!貴様は私に、無関係の一般人を…しかも歌姫を戦場に駆り出す、その片棒を担がせたのだぞ!?」

それは私の最も嫌うところ。

戦争とは無関係の人間に剣を執る事を強いる、恥ずべき事だった。

しかし。

「綺麗事を言うなよ、レイカー」

アークスは私を睨みすえた。