星の海は凪いでいる。

戦闘宙域とは思えぬほどに静まり返った漆黒の宇宙。

だが確かにいる。

地球だけでなく、月面やコロニーをも統治する国連軍のやり方に反発する不穏分子。

コンロット社と、その思想に共鳴した傭兵部隊が、この暗闇の海に息を潜めているのだ。

先日も月付近でコンロット社のAM部隊と国連軍AM大隊が遭遇、戦闘を繰り広げたという。

危うく民間のシャトルをも巻き込む大惨事になるところだった。

目的達成の為ならば、場所も時もお構いなし。

そのような戦いをする者達の、どこに大義があるというのか。

宇宙空間…いや宇宙でもない、どこか虚空を見据えながら、私は眉間に皺を寄せた。