全く。

俺は通信機から聞こえてくる女二人の姦しい会話に溜息をつく。

茜の奴、軍の電波を使って何をミーハーな会話を…。

確かにシェリン・コスミティアの歌は魅力的だと思うし、『銀河の美声』の異名も納得できるが、俺にとっては目の色を変えるほどの事ではない。

それよりも今は与えられた任務を遂行する事の方が重要だ。

「話の途中で失礼する」

俺は通信に割り込んだ。

「国連軍汎用機動母艦グリフォン所属、帝真紅郎少尉だ」

「あらあら…はじめまして、シェリン・コスミティアです」

柔和な笑みが目に浮かぶような温かみのある声でシェリンが返す。

「あ!真紅郎!今は私が話してるのに!」

茜が不機嫌丸出しの声で言った。

「茜、公私混同も甚だしいぞ」