昼食も終わり、アイラは昼寝の時間だ。
小さな布団でぐっすり寝ている。
それを二人で見ながら和やかな一時を満喫していた。



「ねぇ、アキラ?」

「ん~?」



アイラの柔らかい頬の感触を楽しみながらアユミを見ると、会った当初なら絶対に見せないであろう安心しきった微笑みでアイラを見つめていた。
アユミも家族を持って変わったのだ。
それをアキラはたまに実感する。

アユミも自分と同じなんだと。



「アイラも大きくなったらきっとお嫁さんに行っちゃうよ?どうする?」

「行かせない。」

「は?」

「アイラはどんな男にも渡さない。」

「馬鹿。私が君に貰われたようにアイラもいつか貰われる日がくるの。」

「やだぁ~絶対あげない。俺のもんだ!」

「あぁあ。アイラカワイソ。」



呆れた微笑でアキラを見て、眠るアイラの額をつついた。
何も知らない本人は平和に夢の中だ。
きっと大きく成長した頃に困る事になるのだろう。



「でもそうか…いつかアイラも好きな人が出来るかもしれないんだよな…こんな小さいのに…」

「いつまでも小さい訳じゃないんだから、今のうちに遊んでもらいなさいね?大きくなったら構ってくれないよ。」

「あ、お婿さんにすればいいんだよ。お婿さん。」

「それは本人同士で決める事。私達の時もそうだったでしょう?」

「うぅ~…アイラ~パパ寂しいよぉ…」

「泣かないの。男の子でしょう?別に会えなくなる訳じゃないし、幸いまだ先だからね。今の内にちゃんと遊んでもらいなさい。」

「うん…」



すやすやと眠る愛娘は、他の子供なんかより断然愛らしくて、まだまだ先といえどいつか他の男に取られてしまうと思うと、父親としては複雑な気分だ。
だが、今隣にいるアユミの父親もきっとそうに違いない。