柴崎さんに外に行けって言われて来たものの
誰もいないし〜
そう思いながら
病院の入口の前をうろうろしている美海
あ〜、つまんないし帰ろうかな
そういっぽ踏み出したとき
「美海ッ!」
と腕を捕まれる
びっくりして振り返ると
はあはあと乱れた呼吸を整えている隼人
「隼人・・・。」
なぜか気まずさが広がって、何を話せばいいかわからない
でも謝らないといけないんだ
ずっと疑っていたこと
信じていなかったこと
「隼人。えっとね、ごめ、わっ!」
言葉を言いかけたとき
ガバッと包み込まれる
強く
優しく
隼人のなかにすっぽりおさまる
「ちょ、隼人。」
「ごめん。俺、おまえのことなにもわかってなかった。でも好きだから、おまえのこと離したくないから。
これからはもっと大切にするから
だからただの幼なじみに戻るなんて言うなよ」
ドキドキが高まる
でも久しぶりの隼人の匂いがして
ホッとした
この温もりが懐かしくて
それがずっと求めていたもので
うれしくて
うれしくて
涙が出てきた
「ばか。嘘に決まってるじゃない。
頼まれたって隼人から離れてやんないんだから」
そうギュッと隼人の背中に腕を回す
これからどんなことがあっても二人で乗り越えて行こうね