「リサコ、その男、待ってんだろ?会って謝れよ。お礼も言わなきゃ。送るから。」



一瞬、卓也が勇気に手を出すんじゃないかって不安が過ぎった。



「いいってば…」

「大丈夫だよ、俺もさ、リサコを辛いときに助けてくれた奴には感謝してる。だから…お礼言わなきゃ。別に、俺は会わないし、何もしないからさ!」



卓也…いい奴だね。
大人になったんだね。
昔はこんな事があったら確実に殴りかかってたと思う。



「行こ…?」

「うん…」




私は、卓也に手を引かれて車に乗り込んで勇気の元へ向かった。



卓也の横顔は、悲しくて、苦しくて今にも泣きそうな顔だったけど、それでも力強く私の手を握ってくれた。