「海?」

「いくら何でもここまで追っかけてこないから」

サイドブレーキを引くと、雅はゆっくりとタバコを取り出し火をつけた。

いつまでも龍平にしがみついているあたしに、

「ごめんね。怖かった?」

今日初めて雅が振り返り、あたしにその笑顔をくれる。その笑顔だけであたしは落ち着けた。

「大丈夫だよ。…ねぇ、海見たいの」

「いいよ」

「ありがと」