サイレンの音が後ろから聞こえる。振り向くと何台ものパトカーが走ってきてた。

「今日は流してるだけなのに、お巡りさんたちは暇だね」

そう言って雅は窓から右腕を上に突き出し、グルグルと拳を回した。

「羽流ちゃん、しっかり捕まっててね」

「う、うん」

瞬間、雅は急にスピードを上げ、忙しくハンドルを切る。見るとバイクもあちこちに散り出し、あたしは必死に龍平の左腕にしがみつき、ギュッと目を瞑り下を向いた。

「余裕だね」


どれだけ走ったんだろう。車はゆっくりと停車した。顔を上げるとそこは海だった。