浅い眠りだった。だけどあの夢は見なかった。


「起きた?」


あたしの視界いっぱいに入ったのはニコニコ顔の雅だった。

「ちょっとうとうとしちゃってた」

目をこすりながら起きると、雅は真っ白の特攻服を着ていた。


「雅?」


特攻服をじっと見つめていると雅は、

「これから走りだから、これ着てかなきゃね」


あぁ、そっか。これから走り…ってッ


「あたし結構寝ちゃってたんだ」



1時間ぐらいの浅い眠りだと思ってたけど、実際窓の外はうっすら暗くなってた。

「準備できたー?」

雅は龍平と虎太郎の部屋に向かって聞いている。