小さな声で言ったつもりだった。でも窓にはあたし以外の顔も映ってた。



「ごめんッ…起こした?」



あたしの横に立つ龍平。よくよく見ると、龍平はあたしの身長なんかよりずっとずっと高かった。


「ねぇ」


窓の外を見たまま話かける。


「何で皆あたしの顔見て何も言わないの?」



気付いてないわけないでしょ?こんな大きく右頬にあるんだから。



「何か言わきゃならねぇのかよ」

「えっ?」

その答えにびっくりしたあたしは、つい龍平の方を見てしまった。



「普通だろうが」

「…どこが?」


どこが普通?