全然想像がつかない、だからあたしは皆の世界を見てみたいと思ったのかもしれない。



「着いたよ」



いつの間にか見慣れたアパートの前に来ていた。


「じゃあ、ちょっと行ってくるね」


車を降り、小走りに階段を上がるあたしに、

「10分やぞー」

って叫ぶ虎太郎の声が聞こえた。




1日振りに入ったワンルームアパート。

少ない荷物を2つのボストンバッグに詰める。


いつまでかわかんないけど、それまで…


「バイバイ」



ボストンバッグを提げて玄関を開けた。