車なんかほとんど乗った事ないあたしでもわかる。雅、運転がすごい上手。流れるようにさばくハンドル。


「今日の予定は?」

虎太郎が雅に聞いている。

「6時から集会」

「ほな、今日も気合い入れてかんとなぁ」


あたしにはわからない話。あたしは流れる景色を窓から見てた。



「龍平」

雅がルームミラー越しに龍平を見る。

「あ?」

足と腕を組み、目を瞑りながら答える。


「今日羽流ちゃん出していい?」



…ん?あたし?



「…勝手にしろ」

「じゃあ決まり。羽流ちゃん」

ルームミラーに映る雅の目があたしの方へ動く。

「何?」

「今日結構デカい走りあるんだけど、羽流ちゃんも出な」

「えっ?」



走りとか…暴走って事だよね?



「大丈夫。俺らに付いてたら怖くないよ」

「は…はぁ」

「良かったやん、羽流!!」

無邪気な笑顔で振り向く虎太郎。