聞こえるのは心臓のドク、ドクという規則正しい音。これは龍平の心臓。だってあたしの心臓、発作なんじゃないかってぐらい速い。


フゥーと煙を吐いてタバコを灰皿に消す龍平。

規則正しくなる心臓と龍平の体温が、とても心地良くて…あたしは静かに瞼を閉じた。


「越えれる」


薄れゆく意識の中、そう龍平が言ったような気がした。