「そんな事…無意味だよ…」

「…だから途中で止めた。無意味だって気付いた」


スッと体を離した銀次の顔を見上げると、そこにはあの頃のように穏やかに笑う銀次の顔があった。


「俺は今まで高い高いところにいた…何もかも見渡せるはずだった…でもよ、何も見えなかった…」

そう言った後、またフッと自嘲気味に笑い、



「何も見えなかった…」





と言うあなたの背中には、やっぱり翼は見えなかった。