あの時はなぜ5第目がそうしたのか、誰も理解する事はできなかった。ただその時すでに幹部にいた馬籐恭だけが、俺に一言だけ呟いた。


「始まる」


と…――


5第目は佐伯を幹部に置いて半年も経たない内に結婚が決まり引退した。そして次の総長が恭になったと同時に佐伯は幹部から外された。


そしてその後すぐ、佐伯は消えた。


その突然の出来事に普段は何にも動じない奴らまでもが騒いだ。しかしそんな騒ぎをも一瞬で鎮めたのは、馬籐恭だった。