――3年前の秋、佐伯銀次は突然乱舞龍を抜けた。

佐伯は頭も力も乱舞龍の中では飛び抜けていた。俺と虎太郎と同じように中学からチームに入っていたので、佐伯の事はよくわかっていた。

中学3年になったばかりの4月、佐伯はその飛び抜けた能力を評価され、異例の早さで乱舞龍幹部の位置に付いた。

「何で佐伯やねん!龍平の方が全てにおいてアイツより上やろッ!?」


虎太郎は初めから佐伯をよく思っていなかった。虎太郎だけじゃない、俺も含めほとんどの奴らが佐伯をよく思っていなかった。にも関わらず、5第目は佐伯を幹部に置いた。