「雅…」

「羽流ちゃんはここにいて。危ないから」

あたしは静かに頷くしかなかった。付いて行ったところで何もできない。

「すぐ戻るよ」

雅は微笑み、リビングを後にする。そして玄関の扉が静かに閉まった。



あたしだけしかいないリビングでは、チクタクと時間を刻む時計の針の音と僅かに漏れる外の音ぐらいしか聞こえない。

乱舞龍は大丈夫なの?龍平たちは大丈夫なの?ちゃんとまたここに戻ってくるの?本当にすぐ戻ってくるの…?


「…銀次……」


だけどあたしの口から出た言葉は『銀次』だった…