マンションに着くと、やっぱり龍平と虎太郎はいなくて、あたしは白ソファーに座り、雅はその隣に座った。
いつものこの状況が、今は何かピリピリとした空気が漂っている。隣に座る雅は、タバコに火を付けると、ゆっくりと吸い、そしてすぐにそれを灰皿に押しつけた。
「羽流ちゃん」
やっと雅の声を聞く事ができ、いくらかホッとしながら雅の方を見た。
「今日変わった事なかった?」
ドクン――
「えっ…?」
あまりに突然の問いに、あたしの心臓は激しく波打った。
「…特には」
雅を見る事が苦しい。だけどここで逸らしてしまうと、変に勘ぐられてしまう。だからあたしは頑張って雅の方を見続けた。