後部座席のドアを開けた瞬間、絶対に怒られると思い、

「ごめんなさい!!先生に呼び出されちゃって、遅くなった」

あたしは目をギュッと瞑り、頭を下げた。


「羽流ちゃん」

意外にもいつも通り穏やかな雅の声が聞こえ、頭を上げた。

「あ、れ……」

車内には、いつもいるはずの龍平と虎太郎がいなくて、雅1人だった。


「怒ってないから。帰ろ?」

雅はにっこり笑ってくれた。