あの頃の銀次はもういない。目の前にいる銀次は、優しさも何もないただ虚空を見つめるかのような冷たい目を持つ狂犬だった。 「…知らない……」 「あ?」 銀次は睨みつけるようにあたしを見る。あたしの言葉にイライラしているのか、またカチンカチンとジッポーを開けたり閉めたりしている。 「あたし、乱舞龍なんて知らない」 あたしも負けじと銀次を睨み返す。 「交渉決裂」