そこには狂犬がいた。「羽流」確かにそう言った。 「銀…次……」 銀次はそのゆっくりとした足並みで、こっちに近づいてくる。 何でこんな時に将人はいないんだろうとか、もう雅たち迎えに来てるんだろうかとか、目の前の銀次の事よりも他の事をいろいろ考えてた。 「おい」 銀次があたしの目の前で立ち止まった。 「久…しぶり」 とか、全然意味不明な事をあたしは言った。 「あぁ」 「……」