佐伯はそれだけ言うと、屋上から出て行った。表情はわからなかった。






「………銀次…?」





あたしはまだその場に座ったまま、扉の方を見ていた。


「佐伯…銀次…」



その名前を聞いた瞬間、あたしの脳に浮かび上がる小さな小さな思い出。