「……何なの…」


気付けばあたしは汗びっしょりだった。

男は何も言わず、ただあたしを無表情な冷たい目で見据えてくる。






「最近乱舞龍に女入ったって噂聞いてんだけど」


「……」


「右頬に痣ある女」


「……」







「高山羽流」


「……えっ…」


「って名前」




そう言うと、男はそのまま扉に向かって歩いていく。癖なのだろうか、その時もカチンカチンとジッポーを鳴らしながら。