「グスッ…」

やっと落ち着いてきたあたしは、今のこの状況を把握できずにいた。

「落ち着いた?」

見上げるとそこには、穏やかに微笑む男。屋上で声をかけてきた男。

あたしは男の胸を手で押し、少し距離を取った。
俯くあたしの頭をそれでも優しく撫でた。