部屋のドアを開けるまで、暴れ、喚き散らすあたしには構わず、その男は何も言わなかった。

「ただいま」

穏やかな声の男。

死にたい思いでいっぱいのあたしは、その男の顔も、どこに連れて来られたのかも、見ている余裕はなかった。


「やだー!!」

それでもまだ喚き、泣くあたしを男はソファーに降ろした。