「起きたんだ」 顔だけ横に向けて、寝転がる将人を見る。 「何か羽流のにおいしたから」 「将人の前世は犬だね」 「何だそれ」 将人との他愛もない会話は楽しい。将人は可愛いから。 「で、何で帰りたくねぇの?」 「何となく」 あたしは遠くを見るように前を向いて答えた。