暴走は、すごい規模で行われた。人数も、それを追う警察の数も。その中を数え切れないほどの天使が飛んでた。
あたしはこの前のように龍平と、雅が運転する車に乗ってた。
「龍平と雅は何で走らないの?」
まだ2人が走っているところを見た事がない。虎太郎は爆音と共に舞っているのに。2人が舞い飛ぶ姿を見てみたい。
「俺ら走ってたよ」
「じゃあ今は何で?」
「飛ぶ時は一緒でしょ?」
「どういう意味?」
「羽流ちゃんが飛べるようになったら一緒に飛んであげる。それまで俺らは待ってる」
「あ…たし?」
「うん。あっ、でも虎太郎は待ってないわけじゃないからね。アイツには先頭走って皆の命預かってもらってるんだ」
「……えっ」
あたしを待ってるって…?
虎太郎が1人で皆の命を預かってるって…?
「…あたしのせいで、皆に迷惑かけてる……」
あたしのせいで、2人は走れてなかった…