雅の過去を知ったその日、虎太郎が帰ってきて3人揃ったのを確認し、あたしは口を開いた。
「ねぇ、聞いてほしい事があるの」
3人は何も言わず、ただあたしの話に耳を傾けてくれた。
「あたしが飛び降りようとした理由は、この右頬にある痣のせいなの」
時間は夜10時を回った。広すぎるリビングに響くのは、外から聞こえる僅かな雑音と、はっきり聞こえるあたしの声。
「中学2年の時、お父さんが家に放火した。深夜だったから、あたしは気付くのが遅れて、目を覚ますとすでにそこは火の海だった。あたしは必死でお父さんとお母さんを探したけど、見つからなかった。奇跡的に外に逃げ出して家を見たら、もうそれは家なんて言えるものじゃなかった…」
思い出したら震えてくる。それが昨日の出来事のように、鮮明にあたしの脳に映し出す。