肩を小さく震わす雅は、声を殺しながら泣いていた。
あたしはソファーを降り、雅の前に膝をついて、まるで割れ物を扱うかのようにそっと抱きしめた。
「……兄貴が、俺を導いてくれたのに…」
「…一番飛べない世界へ……行ってんじゃねぇかよ」
「変わってんじゃねぇよ…」
雅の声は切なくて、あたしは雅の笑顔の裏側を知った。
「…親父と仕事するようになってから、人が変わった……」
雅に飛ぶ事を自分自身で教えた恭。その頃の恭は、きっと今みたいな目をしてないと思った…家を継ぐ事で何かが変わってしまった恭。それを裏切りだと言う雅。