男は死ななかった。今となったらそれは幸いだった。



鑑別所を出た俺は、15歳。


親の口利きで入らされた高校。
高校に入った瞬間、大量の金と今のマンションを渡され、


「二度とその面見せんな」


母親が泣き崩れるその横で、親父が俺に最後に言った言葉だった。




その頃の俺には、抱えるものもなければ捨てるものもなかった…