「…怖かった……もし龍平が来てくれなかったら…」
「大丈夫だ」
いつもより優しい声。その声だけで大丈夫って思わせる。
「羽流ちゃーん」
雅の声が部屋の外で聞こえる。
今日は早いんだ。
あたしを探す雅の声。
「龍平、ありがと。もう大丈夫だからリビング行こ」
「あぁ」
龍平はあたしの腕を掴み、部屋を出る。
「あっ…と、龍平と羽流ちゃん?」
2人で龍平の部屋から出てきた為、雅は元々ある大きな目を更に見開いてあたしたちを見た。
「雅、話がある」
龍平はあたしを真っ黒のソファーへ座らすと、自分もその隣に座った。
「どうした?」
向かいに座り、雅は真剣な顔をする。
「羽流が恭にやられた」
前屈みの体勢で、目だけを真っ直ぐ雅に向ける。