ガチャ



確かに玄関が開く音が聞こえた。


「助けて!!」


やっと声が出せた。

誰でもいい…助けて。



ゆっくりと恭があたしの首から顔を上げる。


「よう」

「…てめぇ!!」

龍平の声…


その声を聞いて立ち上がる恭。あたしは一番近くの龍平の部屋に逃げ込み、ブルブル震える体を抱きかかえるようにし、両手で耳を塞いだ。微かに聞こえる龍平の怒号と殴る鈍い音。