男が振り向き、あたしを睨みつける。

「誰に物言ってんだ」

「……」


何も言わないあたしをジッと睨み、一瞬目を細めた。そして立ち上がり、こちらへ歩いて来る。


「お前こそ誰だよ?」

「…友達です」

あたしは睨み返す。怖くない。そんな感情ない。


フッと口端を上げて笑うその顔は不気味だった。


ヤバい…


そう思った時には遅かった。すごい力で腕を掴まれ、廊下に押し倒された。全身がピリピリと痺れた。

「あんた誰?」

「馬籐恭。雅の兄貴」


……雅の?


「えっ…」