レイが 初めてだったかもしれない。


『ちゃんと恋愛したことないでしょ』


レイは そう言った。


そして


『あたしもしたことないんだ。ナナと一緒なら出来る気がする』


私は内向的じゃないけれど、外向的でもないし。

大好きな 仕事が出来て 恋人は 2番目か3番目にしてきた。


今は もう 30歳だけど。

やっぱり 10年前は 恋人よりも 自分のペースが大切だった。


人の何倍も かけて 勉強して 手に入れた資格と仕事。


それを 全て 棒に振ってまで 人生を共にしたい人なんて いなかった。


みんな 最初は 優しい。

『ナナの好きなようにしたらいいよ』


『応援してるよ』


って みんな 痒いところに 手を届けてくれた。


だけど 一定の時期が来ると、豹変するんだよね。

どいつも こいつも。

『俺と仕事どっちが大事?』


はい?


低次元…


仕事は忙しいわ 顔合わせたら これだわ…


私は いまだかつて 彼等に

『仕事と私、どっちが大事?』

なんて


くだらない質問 したことないから。


どっちも 大事でしょ。


どうでも いい ことを


長い時間かけて 出来るほど

私には 余計な時間なんて ないのです。


仕事も あなたも 大事だよ。


でも それじゃあ 納得しないんだよね。


みんなが 私を 最後には 閉じ込めた。


おかげで 性格 歪んだなって…


レイよりは いろんな意味で 自覚あるけど…


気づかない どこかで スゴイ 意地悪なのかもしれない。


神様は 完全なものは 作らないから。


宮沢賢治も 言ってた。


『永遠の未完成、これ完成である』