私は前のシートの方に向き直る。
「運転手さん! 今すぐ、法廷速度の5倍ぐらいのスピードーーーーぶべらっ!!?」
車が急に止まり、私は前のシートにしたたかに、鼻を打った。
つーんってする!
なんか、つーんってする!!
しかし、何故、私のシートベルトが?
「は! Jさん、シートベルトをカチャカチャする時に、私のシートベルトこっそり外しましたね!」
「ちゃっかり、とも言う」
「ということは、こうなることを、見越してました・・・ね。?」
はて。
どういうことだろう。
館に着いたら、ゆっくり止まるだろうし、そもそも館すら見えていない。
他に止まる理由など、特に何もない。
私は、ドアを開け、外に出た。