こんなとこで寝やがって…。
この馬鹿が…。
栞が無防備なのは昔からだ。
だから、いつも守って来た。
横向きに寝る栞の顔をそっと、上向きにして、キスを落とす。
誰も見てない。
誰も知らない。
なら、構わないだろ。
そもそも、こんなとこで寝てるこいつが悪い。
無防備なこいつが悪い。
俺の気持ちを微塵も知らないこいつが悪い。
…なんて、全部俺の身勝手な言い分だ。
時折何度かこういうことがあった。
でも、誰も知らない。
俺だけが知っている秘密。
…結局、俺はこいつへの気持ちを断ち切れなかった。
いや、最初から無理だったんだ。
そんなことに、高3になって、気が付いた。