ホッと胸を撫で下ろした。
そして、キスをした。
誰にも渡したくなくて、俺は思い付いたんだ。
栞はぼーっとして俺を見る。
そんな栞に、俺は言った。
「今のは、誓いのキスだよ?」
「…ちかいのきす?なにそれぇ?」
「結婚する2人がするんだよ」
「けっこん?じゃあしおり、りょうにいとけっこんするの…?」
あんまりよくわかっていないで、不思議そうに俺を見つめる。
『嫌?』
俺はズルイ。栞がなんて答えるかを知っていた。
「ううん。しおり、りょうにいすきだもん!うれしい!」
このときの栞は、意味を分からず言っていただろう。
それでも、嬉しかった。
いつか、叶えたいと思った。
そんなこと、無理だとわかっているのに、まだそんなことを覚えている俺はやっぱり馬鹿だと思う。