あいつじゃなくても、たくさんいるのに。ましてや、俺の顔だ。



…本気で馬鹿だと思う。






お前は忘れてる。

それでも――…


小さい頃、誰にも渡したくない独占欲で、騙してさせた約束…を馬鹿みたいに忘れられない。








ある日、俺は栞をいつものように連れ出して聞いた。



「栞、好きな奴いる?」


「うん?いるよ!!」



目眩がした。



「…誰?」


「えっとねぇ!…ひなとゆりあとそなたとゆーきとー、りょうにぃ!みんなだいすきー!」